2019/05/23 企業向け

副業やダブルワークの企業が注意するべき「残業代の計算方法」とは

副業やダブルワークの企業が注意するべき「残業代の計算方法」とは
近年、副業やダブルワークを認める企業が増えてきており、今後もダブルワークを原則容認する企業は増えていくと考えられています。しかし、このような新たな動きに対して、正しい法律基準を知らない企業も数多く見られます。
ここで注目したいのは、残業代の計算方法についてです。複数の企業で働く労働者の残業代は、どのように計算すべきかご存知でしょうか?
副業やダブルワークをする労働者の残業代の正しい計算方法について、労働基準法と照らし合わせながらご説明したいと思います。


①副業やダブルワークをしている社員の残業時間は通算して計算する
副業やダブルワークをしている社員の残業時間はどのように計算するのでしょうか?残業時間は企業ごとに計算するのではなく、その社員の全ての労働時間を通算して計算します。
副業を許可している企業が必ず知っておくべき、副業者の残業時間の計算方法について詳しくご説明しましょう。

まずは、労働基準法第37条を見てみましょう。
法定労働時間(原則1日8時間)を超える時間外労働には割増賃金を支払わなければならないことが、規定されています。
次に、労働基準法第38条第1項の時間計算に関する規定を見てみます。
労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する、とあります。

これはつまり、複数の企業で働いている労働者の労働時間は会社ごとに管理するのではなく、全ての会社での労働時間を通算して計算するということです。 そして、残業時間の割増賃金は、全ての会社での労働時間を通算した結果生じた残業時間に対して支払われなければなりません。

例えば、A社で7時間勤務した後、B社で3時間勤務すると、通算の労働時間は10時間ということになります。 ですから、残業時間は2時間となり、この労働者は2時間分の割増賃金を受け取る権利があります。
どの会社でも残業はしていないので、残業代はないということにはならないのです。


②残業代の割増料金はどの企業が支払うべき?
では、1人の労働者が複数の企業で勤務した結果割増賃金が発生した場合、その割増賃金はどの企業が支払うべきなのでしょうか?
上記でお話ししたA社で7時間勤務しB社で3時間勤務した結果、通算10時間勤務した社員の2時間分の割増賃金は、A社とB社のどちらが支払うべきなのでしょう?

●残業代の割増賃金は原則として後から契約した企業が支払う
原則として、副業している労働者の残業代の割増賃金は、その労働者が後から契約した企業が支払うことになっています。
この原則の根底には、副業側の企業はその労働者が他の企業でも勤務していることを知った上で契約を締結したから、という考え方があります。 つまり、すでに本業として他の企業で勤務していることを知っていたなら、そのうえで他の企業で働けば残業代が発生することはわかっていたでしょうということです。
労働者から見ると、本業の企業のみの労働で残業が発生していなければ、副業の企業から残業代をもらうということです。
上記の例でA社が本業でB社が後から契約した副業の企業の場合、B社が割増賃金を支払うことになります。

●副業を許可した本業の企業に支払い義務がある場合も
原則は副業側の企業が残業代の割増賃金を支払うとご説明しましたが、逆に副業を許可した本業側が支払うというケースもあります。
その根底には、その労働者が本業の企業で労働するのとは別に他の企業で副業することを許可したということは、 その時点で残業代が発生することがわかっているはずだという考え方があるからです。
例えば、本業の企業で7時間勤務した後、副業の企業で勤務すれば1時間で業務が終わるはずがないので、残業代が発生するのはわかりきっています。 そのうえで副業を許しているので、本業側が支払うべきという理屈です。
上記の例で本業のA社が社員に対してB社で副業するのを許可した場合、A社が割増賃金を支払うことになります。


③副業やダブルワークをしている社員の残業代の計算方法
では、副業やダブルワークをしている社員の残業代は、どのように計算すれば良いのでしょうか?
そのためには、まずその社員の労働時間を正しく把握する必要があります。本業と副業、両方の勤務地での労働時間を社員から報告してもらいます。
そして、1日8時間、1週間40時間を超えた労働時間を算出します。その残業時間に対し、通常の賃金を1.25倍した金額が残業代になります。

例えば、A社で7時間勤務しB社で3時間勤務した結果、通算10時間勤務した社員のケースで、B社が割増賃金を払う場合は次のようになります。

【A社が支払う賃金】
通常勤務の時給1,000円×7時間=7,000円

【B社が支払う賃金】※B社が残業代の割増賃金を支払う
通常勤務の時給1,000円×1時間+残業で割増された時給1,000円×1.25×2時間=3,500円

副業を行っている社員の残業代を正しく支払うためには、労働時間を正しく把握することが非常に重要です。副業を許可する場合、社員の勤怠管理をしっかり行うようにしましょう。


④まとめ
副業やダブルワークを許容する企業が増えていく中、残業代が正しく支払われないということは避けなければなりません。
残業代は、それぞれの企業でのみ管理するのではなく、その社員の労働時間を通算して管理します。 そして、残業代の支払い義務があるのは原則として副業側の企業ですが、副業を許可した本業側の企業が支払うケースもあります。
一人一人の社員の勤怠管理を徹底し副業の労働時間も報告してもらい、残業代を正しく管理しましょう。


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